【余聞、泉都別府の別莊文化】
嘗ての別府には 柳原白蓮・伊藤傳右衛門の
大正から昭和にかけては 筑豊の石炭成金、昭和の十年代には 滿洲一旗組、近郊の
ちなみに「的山」とは「金山を
「聾々庵」は昭和十八年に妻ソメノが上海から持ち歸った資金で購入したものだと謂う。
山の手一帯の廣大な山林をふくめて購入價格は六十萬圓、現在の貨幣價値で十數億圓。
憲兵隊から日本への送金を嚴しく監視されたゐた淺原健三が ちょっと遊びに來た奥さんに持ち歸らせた金が十數億圓だと謂うから 途方もない桁外れな話だ。
今は すっかり姿を更へてJR関係の保養施設に生まれ變はってゐる。 十河信二との関係で國鐵に賣却されたものであろう。
Aerial view of the NAKAYAMA Mansion.
(Pictures taken in year 2000.)
在りし日の「中山別莊」全景
平成十二(2000)年撮影
寫眞版權は ITOデザイン事務所（大分縣別府市）に歸属しますので 複寫・轉載はご遠慮下さい。
數ある名建築の中での壓巻は「中山別莊」である。
紡績王 和田豐治が別邸「致樂莊」として建てたものを、鐵鋼王 中山悦治が受け継いだもの。 住宅建築の泰斗 山本拙郎の設計になる スペイン瓦葺き・ハーフ・ティンバーの一部和風折衷で大正九(1920)年の竣工。
朝鮮動亂勃發で歩兵第十九聯隊（歩兵第二十四師團隷下）が出動した後の Camp Chikamauga には いろいろな部隊が入れ替はり立ち替はり通過部隊として通り過ぎて征ったが、昭和二十六(1951)年六月以降、第百一空挺師團の駐屯地として定着した。
中山別莊は戰後 占領軍に接収され、昭和三十(1955)年に接収解除になるまで、第百一空挺師團第一八七空挺戰闘聯隊聯隊長官舎として使用された。
昭和二十七年六月 聯隊長として着任したウエストモーランド中佐（Lt.Colonel William Childs Westmoreland, Commander of 187th Airborne Regimental Combat Team, 101st Airborne Division）は 昭和二十八年末に國防総省に轉任するまでの一年半余をここで過ごしてゐる。
第百一空挺師團は 最強の現役戰闘部隊として、いつでも、どこにでも、直ちに出動出來るよう (strategic reserve)、
後に史上最年少で少將に昇進し、傳統ある第一騎兵師團、第一海兵師團とともに光輝ある米軍最強師團の譽高い 第百一空挺師團長を歴任し、ベトナム派遣軍総司令官として活躍した ウエストモーランド大將は 豫備役編入後の昭和四十五(1970)年九月に別府を訪れ 懐かしの中山別莊を眞っ先に訊ねたと謂う。
General William Childs Westmoreland resided in the Nakayama Mansion in 1952 through 1953, when he was the commander of the 187th Airborne Regimental Combat Team, the 101st Airborne Division, during the Korean War.
He revisited the Mansion in September 1970 as sentimental journey.
(Pictures taken in February 1986)
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（家屋寫眞は 昭和六十一(1986)年二月撮影。）
赤銅御殿は戰時中 水交社として海軍に接収され、八月十五日 大分海軍航空隊飛行塲から 11機の彗星艦上爆撃機を率いて沖縄に突入した 宇垣 纏第五航空艦隊司令長官が宿舎にしてゐた。
また、大前敏一第一機動艦隊首席參謀が「あ號作戰」ならびに「捷一號作戰」の構想を練ったのも この塲所だったと ご本人から直接伺ってゐる。
貴重な文化財である數々の名建築、名庭園も 日出町有形文化財として保存されてゐる「的山莊」をのぞいて 今はない。
（中山別莊は 平成十八(2006)年十二月に取り壊された。）
主要參考文献ならびに引用出典；
「反逆の獅子」 桐山桂一 角川書店 平成十五年
「轉 向」 思想の科學研究會編 平凡社 1978年
WIKIPEDIA;
101st Airborne Division
187th Airborne Infantry Regiment
General W.C. Westmoreland
(2012/04/05)
